相続で賃貸収入を得るようになり、不動産所得の確定申告が必要になる人もいると思います。今回は、不動産所得の確定申告を行う上での、間違いやすいポイントをお伝えします。
不動産の貸付が「事業的規模」かどうかで、青色申告の特別控除の適用金額が65万円か10万円かで異なってきます。
「事業的規模」の判定基準ですが形式要件としては、
・アパート・マンション等で約10室以上
・貸家で約5棟以上
・土地・駐車場で約50件以上
があげられます。
上記の「事業的規模」に該当しないにも関わらず、青色申告の特別控除65万円を適用しようとする間違いが多いので注意が必要です。
不動産投資を始めるにあたり、金融機関から借り入れをして開始した方もいらっしゃると思います。不動産を取得するための借入金利子は、原則として必要経費に算入されます。ただし、不動産所得の金額が赤字の場合、土地取得に関する借入金利子の金額については、損益通算の対象になりません。
不動産所得の金額が赤字にも関わらず、機械的に借入金利子を必要経費にしようとする間違いが多いので注意が必要です。
3.不動産所得の確定申告 注意③ 減価償却費
不動産投資の対象となる建物については、減価償却費として計上することが可能です。
減価償却費の計算誤りとしては、以下のような事例があげられます。
減価償却の対象となる固定資産は建物だけですが、土地の取得価額を含めて減価償却費を計上されている方もいるので注意が必要です。
建物については耐用年数に応じて定額法で償却を行う必要があります。建物では、木造ですと22年、鉄骨鉄筋コンクリートですと47年というように構造・用途に応じて耐用年数が異なってきます。
耐用年数の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.keisan.nta.go.jp/h29yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html
また、中古固定資産について、今後の使用可能期間の見積もりが困難な場合は、以下の計算式で耐用年数を求めます。
<法定耐用年数の一部を経過した固定資産>
耐用年数=法定耐用年数-経過年数×0.8
<法定耐用年数の全部を経過した固定資産>
耐用年数=法定耐用年数×0.2
※耐用年数に関して、算出した年数に1年未満の端数がある時は、その端数を切り捨て、2年未満となる時は2年として計算を行います。
例えば、法定耐用年数が22年の建物で経過年数が10年の場合は、
22年-10年×0.8=14年
となり、14年が耐用年数になります。
耐用年数を誤ると複数期間に渡って影響があるので、注意が必要です。
減価償却費を計算するにあたり、月数按分をする必要があります。例えば、3月末に不動産を取得した場合は、4月から12月までの9か月分しか償却できません。1年分の減価償却費を計上している場合もあるので注意が必要です。